【住宅基礎知識】注文住宅を建てるなら建蔽率、容積率については知っておきたい!【いまさら聞けない】
注文住宅を建てるための土地探しで出会う 「建蔽率(けんぺいりつ)」や「容積率(ようせきりつ)」という言葉。
なんだか難しい響きをしているからと、詳しい内容について分からない方もいるのではないでしょうか。
実は、注文住宅で建てるときはスルーしてはいけないほど、重要なワードのひとつです。
建蔽率と容積率は「土地に建てる家の大きさを表す割合」のことで、深く気にせず選んだ土地に自分が思い描いた注文住宅が建てられない…というケースも。
注文住宅を建てる際、「これから土地探しをする」という方は基礎知識として建蔽率と容積率についてしっかりおさえておくと安心です。
今回は、建蔽率と容積率について「ちょっと難しい…」「今さら聞けない」とお考えの方にもポイントをおさえてご紹介していきます。
まずは建蔽率と容積率の概要について知ろう
建蔽率や容積率はよく聞く言葉ですが、両者の意味を混同して「違いが分からない」という方もいるのではないでしょうか。
まずは、建蔽率や容積率の概要を
おさえておきましょう。
◎建蔽率とは?
建蔽率は、敷地面積を100としたときに建物を建てることができる面積(建築面積)の割合を表したものです。
建物を真上から見たときの面積が“建築面積”です。
この建築面積が敷地のどのくらいの割合で占めているかを知り、法で定められた制限を超えないように建てることが求められます。
◎容積率とは?
容積率は敷地面積を100とした場合にどの程度の延床面積の建物を建てられるかの割合を数値に表しています。
各階数の床面積を合計したものが延床面積ですから、立体的な視点での規制です。
土地の容積率に対し、土地に対して希望する間取りの延床面積が広過ぎると「2階建ては可能だが3階建てはNG」など希望していた階数が叶わないケースもあるでしょう。
また、
・玄関ポーチ
・バルコニーやベランダ(2mを超えない部分)
・ウッドデッキ
・ロフト(高さ1.4m以内)
など容積率に含まない部分もあります。
◎建蔽率や容積率が定められているワケ
注文住宅で土地も家も買う方にとっては、「買った土地を最大限有効活用したい」とできるだけ広く大きな建物を要望する方もいるでしょう。
ただ、すべての土地で「ぎりぎりまで大きな建物を建てる」となると、隣同士の家がかなり近づきます。
また、狭い面積に「階数を高い注文住宅を建てよう」と皆が考えてしまうと、日当たりも悪くなり、風通しもよくなく、建物のダメージへとつながります。
住宅街で「敷地いっぱいの家」「高さの高い家」ばかりになると、火災時に次々と燃え広がるリスクもあるのです。
しかも、道路までぎりぎりに家が建つと、車の通行にも支障があります。
そこで規制されているのが建蔽率や容積率です。
◎用途地域や都道府県の都市計画で異なる
土地には、都道府県による都市計画によって、第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域など、「住宅地・商業地・工業地など」を13個に区分する「用途地域」があります。
この分類によって「建ててもよい・建ててはいけない」という建物の種類が規制されています。
自治体の都市計画ごとに異なりますが、だいたい30~80%ほどの範囲で建蔽率が定められています。
一方、容積率は、第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域など「低層」のエリアでは50~200%という範囲です。高い階数の建物が建たないための容積率の基準と言えるでしょう。
また、「中高層」の建物が建つ想定のエリアや商業地では100~500%、商業地域では200~1300%と容積率も高めに設定されています。
建蔽率と容積率を守った範囲内で注文住宅を建てる
建蔽率と容積率は、どちらも守った範囲内の注文住宅を建てることができます。
そこで、建蔽率や容積率の計算方法を覚えておくと安心です。
◎「坪」とはそもそも…?
土地の広さや建物の規模を表す単位として「坪」や「㎡」をよく耳にする方も多いでしょう。
不動産業界では当たり前のように飛び交っている言葉ですが、「坪とは何㎡なのだろう」と急に言われてもピンとこないという方もいるかもしれません。
坪は日本の昔から使われていた“面積を表す単位”。
現代では不動産で正式な面積の単位として“㎡”が用いられていますが、坪表記も普通によく見かけます。
坪自体が正式な表記ではないものの、ある程度「何㎡が何坪か」を知っておくと土地探しのときも役立つでしょう。
・㎡から坪への換算⇒㎡÷3.3
・坪から㎡への換算⇒坪×3.3
のようなイメージです。
たとえば、100㎡の土地なら、100㎡÷3.3=約30坪です。
次に50坪という土地があれば、50坪×3.3=約165㎡ということになります。
◎建蔽率と容積率の考え方~土地面積から計算してみよう
次に、「敷地面積=100㎡(30坪)という敷地の場合について、具体的に建蔽率と容積率を計算してみましょう。
【ケース1】
建蔽率=60%
容積率=160%
上記の条件の場合、
・60㎡(約18坪)までの建築面積
・160㎡(約48坪)までの延床面積
で建てることができます。
あくまでも“上限”ですから、それ以下で建てる分には問題ありません。
【ケース2】
建蔽率=80%
容積率=200%
こちらは、
・80㎡(約24坪)までの建築面積
・200㎡(約61坪)までの延床面積
の建物が可能です。
このように、同じ面積でも建蔽率と容積率が異なり、建築可能な注文住宅の大きさも変わってきます。
土地選びの際は、不動産情報にて建蔽率と容積率が記載されているので、その数値もしっかりとチェックしておきたいところです。
建蔽率と容積率の注意ポイント
建蔽率と容積率を守って注文住宅を建てる場合、次のようなポイントも意識する必要があります。
◎ほかの制限が絡み合うケースもある
建蔽率や容積率についてはクリアできているはずなのに、希望の大きさや間取りの注文住宅が建てられないケースがあります。
なぜなら、土地の規制は、建蔽率と容積率だけではないからです。
建蔽率と容積率はすべての土地に設けられている規制ですが、土地によっては「道路斜線制限」「北側斜線制限」「隣地斜線制限」などもあります。
これらの制限は道路や隣地などとのスペースを設けて、建物が密着し合わないようにするための制限です。
注文住宅を建てるとき土地に定められた制限をすべてクリアしなければならないため、「建蔽率と容積率の範囲内」だとしても、斜線制限があれば高い階数の建物を建てることはできません。
つまり、建蔽率と容積率では「このぐらいの大きさが建てられる」という上限があっても、ほかの斜線制限によって家の規模が狭まってしまうこともあるのです。
◎アウトドアリビングも利用して開放感を
限られた敷地に規制を守った建築をすると、建物が狭く感じられるケースもあるでしょう。
そこで、人気のアウトドアリビングなど延床面積に含まない部分を利用して、開放感を取り入れてみるのもおすすめです。
ただ、
・外壁からどのくらいのスペースか
・屋根や庇がかかっているか
・壁で囲まれているか
などで建築面積・延床面積への算入が変わってきます。
開放感とともに遊びゴコロも演出できる空間ですから、住宅会社にも確認しながら上手に取り入れることで注文住宅の“家づくり”を楽しむことも可能です。
まとめ
今回は、注文住宅を建てるときにきちんとおさえておきたい建蔽率と容積率についてお伝えしました。
注文住宅の土地探しで「広い土地に大きな注文住宅を建てたい」「狭い敷地でも3階建てなら有効活用できそう」などとお考えの方も多いかもしれません。
ただ、今回お伝えしたように、どんな土地でも自由な規模の注文住宅が建てられることはなく、建蔽率と容積率を守った範囲で建てることが大事です。
注文住宅の土地探しの前には、どのくらいの規模の家を建てたいかもイメージしつつ、土地に定められた建蔽率と容積率にも目を向けましょう。
また、建蔽率と容積率のほかにも土地ごとに守るべき規制があるため、それをカバーできるような設計力・デザイン力を持っている住宅会社に注文住宅を建ててもらうのもおすすめです。
気になる土地が見つかったとき、自分が思い描く注文住宅が可能かどうか、住宅会社にも相談してみましょう。
New!
最新の記事
- 人生の選択肢を増やす【コンセプトブック】
- 【建築士・建築家・設計士】違いを解説!
- 【ネットバンク】住宅ローンをネットバンクで組むとどうなる?
- 【落書き対策】お子様が落書きしてしまったら?
- 【浜松で注文住宅を建てるなら検討してみたい注文住宅会社16選】
Tag list
キーワードから探す
Category list
カテゴリー一覧
\ 現在開催中のイベントはこちら /