準防火エリアって何?コストアップ必須なのでしっかり覚えよう!
新築住宅を建てるための土地探しをしていると、さまざまな候補地が出てくるのではないでしょうか。
そんななか、「準防火」と定められたエリアが建築地の候補となるケースもあるでしょう。
ただ、準防火エリアは、ほかの住宅地とは違った規制も多いです。
サッシの取り付け位置などの規制もあるため、家を建てるときにはポイントを理解しておく必要があります。
そこで、今回は準防火地域に建てるときに知っておきたいポイントを分かりやすくまとめてみました。
そもそも都市計画法とは?
準防火地域の規制などについて知る前に、まずは「都市計画法」という言葉についてお話します。
日本のすべての土地は、都市計画法によってより良い街づくりのためにさまざまな規制を設けています。
◎都市計画法における分類はたくさんある
都市計画法では、まずは次の2つに分けています。
①都市計画区域・・・これから積極的に計画を練って街づくりを考えていく地域
②都市計画区域外・・・自然が多い、人が少ないので街づくりはせずに現状を保護する地域
都市計画区域では街づくりを進めていくものの、何の規制もないと良い街づくりは不可能ですよね。
そこで、さらに次のような分類もされています。
①市街化区域・・・すでに市街地が形成されている、もしくは今後10年以内を目途に優先的に市街化を進めていく区域
②市街化調整区域・・・基本的に農地や緑などの自然を守り、許可がおりたケースを除き住宅の建築ができない区域
このように都市計画法において地域を分類して規制をすることによって、計画的な街づくりを進めているのです。
準防火地域とは?
前述したような区域を分け、街づくりを促進していく“市街化区域”が主に土地選びの候補になるケースが多いでしょう。
市街化区域では、「土地をどのように使うか」「制限することは何か」などを定めた“地域地区”というものもあります。地域地区は21種類ありますが、そのひとつが「防火地域または準防火地域」です。
すでに街並みができ建物が密集している地域は、万が一の火災が起こると火の燃え広がりが早まってしまいます。
そこで、市街化区域のなかでも火災のリスクが大きくなりそうなエリアを「防火地域」や「準防火地域」とし、建物を建てるときは「耐火建築物・準耐火建築物」など制限が定められています。
火災リスクのために建築時に厳しい規制が設けられている区域です。
◎防火地域とは?
防火地域は、
・官公庁など、その都市における重要な建物が集中している
・人の往来が多い
・火災の被害が起きやすい傾向にある
・火災が起こったときに被害が大きくなりそう
という状況で、とにかく火災を防止するための厳しい規制がある地域のことです。
主要駅や主要道路の近辺、都市の中心地を防火地域と定めているケースが多いです。
◎準防火地域とは?
準防火地域は、街の中心部となる防火地域の外側を取り囲むような範囲に定めているケースが多いです。
ただ、地域によって違いはあり、街中の中心ではなく住宅地などでも、準防火地域として指定されているケースもあることから、家づくりの前に準防火地域のことを知っておくと安心です。
準防火地域~延床面積と階数によっては構造に規制がある
延床面積と階数によって、耐火建築物および準耐火建築物と定められています。
準防火地域でも、「500㎡以下・2階以下」であれば防火措置は必要ですが、木造建築でも住宅が建てられます。
ただ、500㎡以上ともなると耐火建築物もしくは準耐火建築物でなければならないという規制があります。
また、3階建てにもなると耐火建築物か準耐火建築物などの構造が求められ、4階建てでは延床面積にかかわらず耐火建築物などという制限があります。
◎耐火建築物とは?
耐火建築物は、屋根や柱、床、壁など建物の主な部分に耐火性のある建材を使い周囲への延焼をくいとめ、かつ避難できるまで建物の倒壊しないような条件で建てた建物のことです。
◎準耐火建築物とは?
準耐火建築物は、耐火建築物のすべての条件をクリアするまではいかなくても、火災が起こったときに耐火性を発揮できる建物のことです。
準耐火建築物も耐火建築物と同じように、建築基準法における耐火性のある建材を使うので、火災に対しては強い家ができるということになります。
準防火地域の家づくりのポイント&注意点
それでは、具体的に準防火地域における家づくりのポイントを見ていきましょう。
◎延焼ラインとは?隣地との距離感がポイント
建築基準法では、延焼するかもしれない部分を「延焼ライン」としています。
延焼ラインの考え方は、「隣地の境界線」「道路の中心線」から見て、1階は3mの範囲、2階は5mの範囲です。
準防火エリアにおいて、この延焼ラインの範囲にある窓サッシや屋根、外壁、玄関ドアなどは、さまざまな規制が設けられています。
◎窓サッシの取り付け位置に注意
準防火のエリアでは、延焼ラインにある開口部には防火窓が必要という規制があります。
そのため、準防火地域に住宅を建てる場合、窓サッシの取り付け位置が延焼ラインの範囲内であれば、防火窓を採用しなければなりません。
網入りガラスの防火窓や、網が入っていなくても耐熱性がある耐熱強化ガラスなどが防火窓です。
また、内側につく窓には適応されない場合もあります。
◎外壁や屋根にも規制がある
外壁が延焼ラインに入っていれば、防火性のある外壁材を使わなければなりません。
また、準防火地域に建てる建物の屋根は、火災の火の粉により発炎せず飛び火がしないような瓦や金属などで葺くという規制もあります。
◎コストがかかりがちな準防火地域の家
準防火地域に家を建てる場合、火災に対して厳しい規制をクリアする建材を使わなければならないため、通常よりもコストアップするケースが多いです。
準防火地域ではない家づくりと比べると、規制が多いうえ、コストがかかると感じるかもしれません。
ただ、コストアップして建築することで火災への備えができて安全というメリットもあります。
それに、周辺の家も耐火性のある家が多く、いざ火災が起こったときに貰い火のリスクも減り、命を守ることにもつながると言えるでしょう。
◎火災保険の割引が適用となることも
新築をするとき、多くの方が加入することとなる火災保険。
準防火エリアで建てられた場合、防火性能が高いことが理由で火災保険料が割引で安くなるケースがあります。通常、火災保険が割引されるのは耐火構造の建物です。
しかし、準防火地域の場合、500㎡未満の2階建てだと「防火措置は行うけど耐火建築物にしなくてもよい」ため、保険料が必ずしも安くなるわけではないでしょう。
準防火地域に家を建てるときの構造を確認しておくことが大事です。
まとめ
今回は、準防火地域における新築住宅のポイントをお伝えしました。
準防火地域は、建築基準法において火災を防ぐための規制があるエリアです。
準防火のエリアでは、窓サッシは隣家との距離によって高価な防火窓を選ばなければならないでしょう。
メーカーでも防火性のあるサッシは高めのケースが多いので、普通の家づくりよりは全体的に高くなる傾向にあります。
事前に、準防火エリアでは窓サッシなどをはじめ、建築がコストアップしやすい点を理解しておくことが大事です。
土地選びでは、土地の価格や周辺環境を重点的にチェックしがちですが、建築にさまざまな規制が設けられた防火地域や準防火地域など、地域の分類にも目を向けておきましょう。
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