地震に強い家に住もう!耐震と制震についての考え方!
台風や大雨は天気予報で事前にある程度の予想ができるのに対し、いつ・どのくらいの規模のものが起こるか分からない“地震”。
日々の生活ではつい忘れがちな地震ですが、実際に大きな地震が起こると家が揺れるだけでは済まず、破損や倒壊の危機に直面するかもしれません。
家族の安全を守るため、「万が一」に備えて地震に強い家づくりをすることはとても大切です。
今回は、地震に強い家について、「耐震」や「制震」の考え方の違いなどをお伝えしていきます。
耐震や制震、それぞれの特徴とは
地震対策として“耐震”や“制震”、“免震”というワードを聞いたことがある方も多いでしょう。
どんな特徴があるか、ひとつずつ見ていきましょう。
◎揺れに耐える力を施し、建物の強度を高める「耐震」
耐震は、言葉の通り、“地震に耐える”家づくりです。
屋根や壁、柱や梁、筋交いなどで強い構造の建物にし、地震時の倒壊を防いでいます。
そもそも建築基準法において「耐震基準を満たすこと」が義務付けられています。
建築基準法に基づき、躯体をしっかり作り上げていきます。
現代の家づくりでは「耐震性」に基づいた家づくりがされているので、敢えて追加費用がかかることもないでしょう。
立地や地盤などに関係なく、設計の自由度も損なわれません。
ただ、建築基準法において定められている基準よりも、「さらに頑丈にしたい」という希望があれば、補強などのコストはプラスされることになります。
また、耐震を施しても居住していくなかで特別なメンテナンスは不要です。
◎地震による衝撃を吸収して建物へのダメージを減らす「制震」
制震は、地震が起こったときに建物に加わる衝撃を吸収できる装置「ダンパー」を取り付ける地震対策です。
骨組みに取り付けた制震ダンパーは、家に伝わってきた“揺れ”をおさえてくれます。
制震ダンパーによって、実際の震度よりも体感が小さくなり、安心感がプラスされるでしょう。
制震は、耐震よりも安心感が増すというメリットがあります。
お伝えしたように、そもそも建築基準法で最低限の「耐震」は考えた家づくりを行うため、それに「制震」を加えることで一層地震へ強い家へと導くことができます。
制震装置は、大規模な地震の揺れを軽減するほか、繰り返す「余震」への効果も発揮します。
制震の場合、地震だけでなく暴風や台風などによる揺れにも効果を感じることができるでしょう。
地震はもちろんですが、台風時期には家が揺れるのはとても怖いものですよね。
風の揺れへの対策としては、制震がメリットと感じられるでしょう。
また、制震は、免震と比べるとコストが安くおさえられます。
一方、「耐震だけの家」よりも、「耐震+制震の家」はコストが高めですが、万が一の揺れを想定すると導入しておきたい対策と言えるのではないでしょうか。
◎地震の揺れをかなり軽減する「免震」
耐震や制震の場合、地面に直接建物が建っているため、地震時の揺れがダイレクトに伝わります。
免震は、「建物」+「免震装置」+「地面」というイメージで、地面の上にある免震装置が地震時の揺れを吸収してくれます。つまり、地面からの揺れが建物に伝わるのを防いでくれる構造となっているのです。
免震のメリットは、いくつかある地震対策のなかでも「もっとも揺れにくい」という点です。
大きな地震が起こっても、建物内部の家具も倒れにくく、「落ちてきた物にあたってケガをする」というリスクもかなり減るでしょう。
ただ、敷地の制約を受けるケースが多いです。
たとえば、3階建てやビルトインガレージ付の住宅では、免震装置が難しいケースがあります。軟弱な地盤の場合、そもそも免震は導入が難しいでしょう。
また、風の揺れにも効果がある「制震」と違い、「免震」では風揺れの効果がありません。免震装置の導入も高額となってしまうでしょう。
耐震等級2以上を誇る長期優良住宅
次に、家づくりで地震への強さを表す「耐震等級」について見ていきましょう。
◎そもそも「耐震等級」とは?
耐震等級とは、建物にどれだけ耐震性があるかを分かりやすく数値化したもので、「耐震等級1」「耐震等級2」「耐震等級3」に分けられています。ひとつずつどんな水準か見ていきましょう。
・建築基準法で定めた性能を満たす「耐震等級1」
現在の家づくりにおいては、新耐震基準を満たすことが建築基準法で定められています。
その最低限の耐震性能が「耐震等級1」です。
つまり、新築住宅を建てる際、建築基準法に従って建てていれば、最低でも「耐震等級1」にはなっているということです。
耐震等級1で建てられた家は、「きわめてまれに起こる大地震で倒壊・崩壊しない程度」という記載がされています。
ただ、これは「倒壊しない」ということを記しており、損傷すれば大がかりに補修しなければならないでしょう。
・耐震等級1の1.25倍の水準「耐震等級2」
耐震等級2は、耐震等級1より1.25倍も「倒壊・崩壊リスク」を減らせます。
現在は、大地震の際に避難場所になるような公共施設(学校など)は、耐震等級2の強度が必須条件となっています。
・耐震等級1の1.5倍の水準「耐震等級3」
耐震等級3は、耐震等級よりも1.5倍もの耐震性能を誇ります。
大地震が起こったときに崩壊してはいけない警察署や消防署は、耐震等級3で建てられた建物です。
つまり、家づくりにおいて「耐震等級3」であれば、もっとも地震時の倒壊リスクがおさえられることになるのです。
◎長期優良住宅は自動的に耐震2以上
長期優良住宅の場合、「耐震等級2以上」で建てなければいけません。
つまり、長期優良住宅で家を建てる場合は、自動的に「耐震等級2」もしくは「耐震等級3」となります。
耐震・制震・免震の証明はあるの?
前述のように、現在の建築基準法では最低でも「耐震等級1」以上の家づくりをしています。
「耐震等級2」や「耐震等級3」で建てた家であれば、「どちらなのだろう?」と分かりませんよね。公的な証明書があれば…とお思いの方も多いでしょう。
住宅の性能に関する証明として「住宅性能評価書」や「住宅性能証明書」、「長期優良住宅認定通知書」などがあります。
◎住宅性能評価書
住宅性能評価書では、地震への強さ(耐震性)や火災への安全性、住宅材料の劣化に対する耐久性、外皮の断熱性など、お住まいに対する評価をさまざまな観点から行って評価されています。
申請は購入者が行えますが、慣れていないと添付書類の多さに分かりにくく感じることばかりです。
建築会社や設計会社に依頼すると、申請を代行してくれるケースが多いです。
また、住宅性能評価書があれば、住宅ローンの金利の優遇が受けられるケースや、地震保険で割引が適用されるケースもあります。
国に登録されている機関による客観的な評価が行われます。
住宅の規模などによって申請の費用も変わります。詳しくは建築を依頼する施工会社に相談してみましょう。
◎長期優良住宅認定通知書
長期優良住宅認定通知書にも、耐震性に関する項目の記載があります。
長期優良住宅認定通知書は、「住宅ローン控除」や「不動産取得税の減税」、「固定資産税の軽減」など建築後の税制面のさまざまな面で「写し」の提出を求められます。
通常は「長期優良住宅である」という申請が所管行政庁から認定されてから着工するので、施工会社などを通じて申請されるケースが多いです。
施主の代行で申請するので、申請費にプラスして手数料もかかるでしょう。
まとめ
どんなに素敵なデザインの家を建てても、大地震によって倒壊してしまうことがあれば、悔やまれてなりません。日本は地震が多い国であることから、「地震によるリスク」を想定した家づくりが大事です。
「揺れを軽減する」「ダメージを少なくできる」という耐震・制震などの考えで建てた地震に強い家は、家族を守ることにつながります。
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